現在名古屋のネット喫茶にいる。
ネカフェというものは、本当にどこいっても変わらない。
一昨日の夜に仙台を出て、昨日の朝に名古屋に着いた。
10時間はやはり長い。
致命的だったことはCDプレイヤーとCDを10枚近く持っていったにも関わらず、
イヤホンを忘れてしまったこと。
事態に気づいた時は、思わず両手で顔を覆った。
車内では『いま、会いにいきます』がビデオで流れていた。
しかし、備え付けのイヤホンがあるべき音の1割も拾わないことを理解し、閉口。
結局、『いま、会いにいきます』の映像を見ながら、ボケッすることに努めた。
なんというか、夜行バスの中なんてそんなものである。
朝、栄と呼ばれる地区に降り立つと、近くにあるであろう勤務先を見にいくことにした。
てくてくと7,8分程歩くと、それは確かにあった。
建物を目にした瞬間、正直ガッカリしてしまったのは内緒である。
ちょっと予想以上にちいちゃかった。
それから新居候補を見て回る。
大体の目星を付け、見積もりをもらって夕方には終了。
それから一度ホテルにチェックインし、荷物を置いて再び外に出た。
会社の方々と呑みに誘われたからだ。
朝来たビルの前に着いたので電話をしてみる。
すると中に入って少し待っていて欲しいとのこと。
言われたように裏口からエントランスに出、エレベーターで指定された階に上がる。
と、ここまで来て困ってしまった。
何故ならその階に勤務先と思しき、会社名の札がどこにも貼られていなかったのだ。
仕方なく、全てのドアを開けて回る。
中ががらんどうの空洞だったり、鍵がしまったドアを経て、最後のドアを開いた。
25、6才ぐらいの男性が二人、8畳程の空間の中で僕を見ている。
それが目にした最初の光景だった。
デスクは3つ。
2つはノートPCと電話機、書類とペットボトル。
もう1つはダンボールと書類の山。
しかし、横に立てかけられたホワイトボードに、
「4月目標。○○→3000万、□□→3000万、新人A→1000万、新人B→1000万」
とあるのを目にした時、僕は強気と弱気、清濁混じった感覚を覚えた。
そこで始めてリアリティを感じたのだ。
それから移動し、焼き鳥屋へ。
キャベツと焼き鳥を咀嚼し、大急ぎで嚥下しながら舌を動かし、話を聞く。
「ここを志望してくれて本当に嬉しい」
「目標は07年で1億」
「めっちゃシンドイよ」
「半年は地獄やね」
「でも力をはつく、それは保障する」
「4月1日からはシャワーのように色んなモンを浴びるから」
1時間半程話した後、事務所に戻る。
そこでまた1時間近く話をし、これからの予定等を相談して僕は外に出た。
時間は24時30分。
事務所の明かりが煌々とついているのを確認すると、ホテルに向けて歩を進めることにした。
本日朝、9時前に起きる。
10時の不動産屋との約束に間に合わせるべく、30分後チェックアウト。
地下鉄代をケチって多めの距離を歩いたら、時間に遅れた。
不動産屋では先日見た中で気に入った物件を伝え、大家と値段交渉をお願いする。
結果、敷金が1ヶ月減るかもと。
それでOKし、申し込み書に記入。
前金のようなものを支払い、新居が決定した。
不動産屋を出ると、コンビニが近くにあったので入ってみる。
「いま、会いにいきます」のコミックスを発見。
読了後、小さなブーイングを飛ばしつつ、目頭に熱いものを感じ、店を出た。
“最近、平行世界の設定多いよな。でも確かにプチ感動。”
それが感想。
それから最寄り駅でうどんを食べる。
続け様に喫茶店でパンとコーヒーを頼む。
思わぬ満腹感にうろたえながら、読みかけの本を読んだ。
名古屋駅に移動。
自身の卒業認定を友人の親切心から確認。
明日の散髪の予約を確認。
帰りのバスの乗り場を確認。
今に至る。
こんな感じ。
思ったより名古屋人は「ぎゃー」と言っていません。
“良かった”と、ちょっとだけ思う。
そんな乗車1時間前。