Where I Wanna Be
Donell Jones。
優れたライティング能力と企画力でアッシャーやマドンナ等に楽曲を提供している。
要は作詞、作曲で名を知られていたアーティストだ。
だが、この2枚目の『Where I Wanna Be』でシンガーとしての地位を確立したといってもいい。
『Where I Wanna Be』は、↑のような解説を見て書いたような文章を納得せしめるだけのクオリティがあった。
評判が良かったので期待はしていたが、まさかこれほどとは思わなかった。。。
曲調はアッパーな曲調とは異なるミディアム〜スロー(解説曰く)。
「Donellの声自体にメロディがある」と言う共作者のエディ・Fの言う通り、ゆったりとしたリズムにDonellの声が重なるとそれだけで至福の気分が味わえる。
官能的と言えばいいのか、その歌い口にはただただ聞き惚れるばかりだ。
美しい。
思わずそう感嘆せざるを得ない。
ここ最近下らない戯言を多く耳にしていて、うんざりすることしきりだった。
そんな中、本物のアーティストと出会えたことは本当に嬉しく思う。
“癒し”だとか、
“まったり”だとか、そんな言葉を音楽に求めるものがいたなら、黙ってDonell Jonesの存在を教えてあげればいい。
どの曲も素晴らしいが、中でも無性に惹かれたのが
#5『This Luv』。
僕の脳の言語野は欠陥品故、衝撃的な音楽に出会った際には、ただ「凄みがある」だの「美しい」等の言葉しか浮かばない。
今回の衝撃、衝動を無理やり言葉にすれば、
「優しさだとか、思いやりだとか、そんな成分は一切含有されることなく、ただただ容赦なく心を揺さぶられた」
となる。
#3『Where I Wanna Be』も#1『U Know What's Up』も#6『All Her Luve』
も#8『Think About It (Don't Call My Crib)』も他の全ての曲も皆素晴らしいが、この#5『This Luv』は特別だ。
『This Luv』にしか感じ得ない、僕が以前Smashing Pumpkinsの『Adore』から受けた“何か”に共通する“何か”を感じる。
心が震えるのだ。
間違いなく。
その“喜び”ともいうべき“震え”には、気を許せば涙しそうになる。
思わず僕という存在の輪郭が歪んでいってしまいそうな、そんな感覚さえ持ってしまうのだ。
既出のエディ・Fは曰く、Donellを“ゲットーの詩人”と称しているが、この『This Luv』のメロディを聴きながら、
この愛は君だけのため
だから拒まないで、きっと後まで後悔する
という歌詞を思うと、それだけで最高の気分になれるだろう。
まぁ、実際は、女を抱きたいためだけに口説こうとしている男の歌なのだけれども。
実はこの『Where I Wanna Be』以外に、同じくDonell Jonesの『Life Goes On』、D'angeloの『VOODOO』、Brian Mcnightの『U Turn』も借りてます。
どれも素晴らしい作品なので、またご紹介するかもです。